2008年1月20日(火)
絶えず爆撃やミサイル攻撃を受けている。また海からも砲撃している。ビーチ難民キャンプの北部では家屋に向けてロケット砲が撃ちこまれ、住民を退避させようとしている。しかし住民は移動することを拒絶している。弟の家族は難民キャンプの北部から私の家に移ってきた。弟の家族はとても怖がって、安全な場所に移動してきたのだ。
私の家の近くにあった警察を覚えているだろう? そこが10日前に爆撃され完全に破壊された。そのとき、私の家の電話を切られてしまった。電話公社は修理にやってこない。
(Q・食べ物はどうしている?)
近所のビーチ難民キャンプのスークはまだ機能している。しかし全部が開いているわけではない。私たちは今、ほとんど缶詰の食料に頼っている。肉や野菜の缶詰に頼っている。通常、野菜はベイトラヒヤやハンユニスで生産されてガザ市内に運ばれてくるが、それらの地区は今封鎖されているから、野菜がここのスーク(市場)まで運ばれてこない。
野菜も缶詰から出して料理して食べている。小麦粉を手に入れるのはたいへん難しい。パン焼き屋は、2、3時間開けて住民のためにパンを焼き、その後は閉めてしまう。ほとんどのパン屋は閉鎖されたままだ。土でパン焼き釜が作られ、住民はそこへ小麦粉を練ったものを持っていき焼いてもらっている。電気も台所のガスも使えない。だから住民たちはすべて共同のパン焼き場へ行ってパンを焼いている。
水もそうだ。水道は出ない。だから容器を持ってモスクまで行き、それを階上まで上げる。その水不足がいろいろな面で影響を与えている。全てにだ。
暗くなってからは外には出られない。いま夜の7時だが、通りには人通りはない。夜、道を歩くのはとても危険だ。夜歩いていたり車で走っているとロケット弾で攻撃されるからだ。モスクへ行って車で帰るとき、ある車が攻撃され、乗っていた人が負傷した。1人は両脚を切断した。
(Q・この14日間で、あなたの周囲で殺された人はいるのか)
ビーチ難民キャンプではいない。激しい攻撃を受けているベイトラヒヤやベイトハヌーン、シュジャイーヤとは距離がある。それら、境界に近いところではひどい状況だ。しかしビーチ難民キャンプは、軍艦からの砲撃にさらされている。住民が抵抗勢力に協力しないように圧力をかけている。
(Q・医療現場の状況は?)
病院は攻撃で負傷した人で一杯だから、通常の病気では病院に受け入れてもらえない。だから個人の医者のところに行くしかない。病院は重傷を負った人で埋まっている。病院では、病室も廊下も治療が必要な負傷者でいっぱいだ。
とにかく救急車は動き回っている。いろいろなところから負傷者が運ばれてくる。シェファ病院はガザ地区での最大の病院だから。
(Q・給与はもらっているのか)
給与は出ているが、銀行は閉鎖されている。まったくシェーケルも米ドルの現金もない。マーケットでは現金が手に入らない。先月は給与を手にするのがとても難しかった。銀行は私たちの給与を3回にわけて配布した。今回は1万シェーケル、次はまた1万シェーケルと言った具合だ。だから給与を1度にもらうことができない。
今は我われの給与は銀行にある。しかしこの侵攻が始まってから、銀行は閉鎖された。いつこの侵攻が終るかもわかない。銀行にはシェーケルがない。外から入ってこないからだ。新聞を読んだらわかると思うが、ガザの銀行は外の金融機関から関係を断ち切られてしまっている。
(Q・住民の感情は? もちろんイスラエルへの怒りはあるだろうが、この事態のきっかけを作ったとしてハマスに対する怒りは?)
ハマスが今の事態の原因だと話す人はまったくいない。人びとには一種の団結ができている。ハマスを非難する者はいない。というのは、人びとはこの戦争はイスラエルが原因であるとわかっているからだ。イスラエルは決して「勝利」を手にすることはできない。単にハマスに対してだけではなく、パレスチナ人に対してだ。この戦争はハマスが標的ではない。イスラエルはまったくハマスを打ち負かしてはいない。ハマスの機構はまったく傷ついてはいない。率直に言って、まったく傷ついてはいないのだ。
境界で戦っているのはハマスの中でもほんのわずかだ。イスラエルはF16や海からの砲撃や戦車からの攻撃をしているが、実際の侵攻はしていない。それがイスラエルはできない。そうすれば奇襲を受けることになるからだ。境界で戦っているのはほんのわずかでしかない。彼らはその戦術をレバノンのヒズボラから学んだ。
(Q・ということは、ハマスは力を温存しているということか)
ハマスはまったく傷ついてはいない。
(Q・しかしイスラエルの報道では80〜90%近い勢力が壊滅されたと伝えているが)
それはまったく嘘だ。イスラエルの世論のために造られた嘘だ。彼らはほとんどハマスにダメージを与えてはいない。ハマスの武装勢力は、武器を手にしているわけではない。誰が武装組織の人間なのかわからない。彼らの存在はまったくわからないのだ。爆撃のために家の中で人が殺されているのは、街の中だ。しかしその周辺では何も手をつけていない。殺されているのは子どもや女性や老人たちだ。武装勢力ではない。
彼らは自分たちをヒーローにしている。その証拠に彼ら武装勢力はロケット弾を撃ち続けている。
(Q・しかし政府の建物や警察の建物は壊滅的な打撃を受けているのでは?)
ハマスの武装勢力の人間がこれらの建物にいると思うか。これらの建物を基地に闘っていると思うか。これらの建物にいるのは民間人だ。戦闘員たちではない。私たちはいっしょにその役所へ行ったではないか。そこに戦闘員がいたか? そこにいるのは、私や君のような人間だ。そこにいるのは民間人なのだ。そこで私たちが書類を作ってもらったりする。
今、イスラエル軍は撤退しようとしているが、どうやったらそれができるのか、わからないでいる。目的は何も果してはいないからだ。
政府や警察の建物などは、以前はファタハの建物だったもので、それがハマスに占拠されたものだ。だからハマスはまったく傷ついてはいない。
(Q・しかし空爆の初日に多くの警官たちが殺されたが)
彼らは民間人だ。たとえば道路で交通整理をする警官たちだ。それだけのことだ。彼らは武装勢力の戦闘員たちではないのだ。彼ら警官たちがイスラエルと戦うと思うか。だからイスラエルや報道で伝えられていることはまったく嘘だ。民間人を殺して「勝利」だと言うのか? 「勝利」がどこにあるというのか。殺されたのは、民間人のためにサービスを提供する人間たちだったのだ。
(Q・爆撃や砲撃をあと1、2週間続けてもハマスを壊滅できないというのか)
まったくそれはできない。2年続けてもできない。なぜならハマスと戦っているのではないのだから。イスラエル軍は民衆と闘っているんだ。住民を殺しているんだ。ずっとあちこちから砲撃の音が聞こえる。それは一般の住民に向けられているんだ。
イスラエル軍はイスラエル国内の世論に向かって、「100人のテロリストを殺害した」と宣伝する。しかし殺しているのは民間人なのだ。
(Q・ということは、住民は今はハマスの下で団結しているといえるのか)
ハマスの下にではない。「反イスラエル」の下に団結しているのだ。すべての組織が戦っているのだ。PFLPやイスラム聖戦やファタハなどすべてだ。100%確かだ。
しかし、外で武器を持った戦闘員たちを目にすることはない。以前はカラシニコフなどを持った武装勢力を目にすることはあった。しかし今やまったく武装勢力を路上で目にすることはない。
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