2009年7月7日(火)
1400人を超える死者を出したイスラエル軍によるガザ攻撃から、半年が過ぎました。
世界のメディアは、ガザの状況をほとんど伝えなくなりました。「攻撃が終結したガザに平和が戻った」と考えている人も少なくないはずです。
しかしその後も、“封鎖”という“占領”が続くガザでは、復興のための資材のみならず、食料や生活物資さえ入手が困難な状況が続いています。
この半年間、私はガザで何か起こったのかを、NHK・ETV特集「ガザ・なぜ悲劇は繰り返されるのか」(2009年5月10日放映)やNHK BS1「きょうの世界」(2009年3月10日放映)、数々の講演・上映会で、映像を通して伝えてきましたが、今回、その“歴史の記録”を活字化しました。
本書ではとりわけ、住民殺戮の事実を、複数の目撃者の証言によって詳細に再現することに留意しました。
また、これまであまり報じられてこなかった、イスラエル側が「攻撃の元凶」と主張する「ハマス」への、ガザ住民たちの反応にも言及しました。
そのために規定の原稿枚数を大幅に超過し、『岩波ブックレット』としては異例の2段組みのかたちになりました。
本書に欠落しているのは、直接の加害者であるイスラエル軍将兵たちの証言です。
幸い、占領地での将兵たちの加害の実態を告白したイスラエルのNGO「沈黙を破る」のメンバーたちが、「休戦」直後から、ガザ攻撃に参加したイスラエル軍将兵たちの証言を集めてきました。それがまもなく小冊子として公開されます。その英語版が完成し次第、翻訳し、前著『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』の〔第2弾・「ガザ攻撃」編〕として、なんらかのかたちで公開する予定です。
ガザの悲劇は終わっていない
─パレスチナ・イスラエル社会に残した傷痕─
(岩波ブックレット)
【内容】
【書誌データ】
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