Webコラム

日々の雑感 252:
映画『“私”を生きる』への反応

2012年1月28日(土)

 『“私”を生きる』の上映が始まって2週間が過ぎた。当初の予定ではこれで「オディトリウム渋谷」での上映は終了するはずだった。しかし初日が満席となり、上映期間が1週間延びた。当初、2週間の上映で観客数500人が目標だったが、その数は1週間で突破、昨日までですでに1000人に近づいている。予想を超える観客が入っていると他の映画館にも伝わっているのだろう。同じ東京の「アップリンク」で2月25日から2週間、横浜の「横浜ニューテアトル」では2月11日から2週間、名古屋の「名古屋シネマテーク」、京都の「京都シネマ」、さらに広島の「横川シネマ」でも春以降の上映が決まった。

 私自身、驚いたのは2週目に入った頃から観客が急に増えたことだ。女優、根岸季衣さんがトークショーに登場した1月21日(土)には全客席130の劇場で90席以上が埋まり、翌日22日(日)、東大大学院教授・高橋哲哉さんの時は100席を超えた。さらに驚いたのは平日の水曜日、土肥信雄さんのトークショーで99人、トークショーがなかった翌日も60人を超えた。ちなみに私がトークをやった昨日も93人だった。
 さらに意外だったのは、来場客が、私ががんばって友人知人たちに販売または委託した「上映協力券」を持った人よりも、当日券で入場する人が多いことである。私が懸命にばらまいた600枚を超える「上映協力券」はどこへ行ってしまったのだろう。

 もう1つうれしいことがある。毎回、上映が終わった直後、客席から拍手が起こることだ。映画を観た人が「いい映画だった」と意志表示してくれているのだろう。1週間が経ってから販売し始めた(それまで思いつかなかった)DVDも、私が上映後に宣伝した日には10本以上売れる。1500円で映画を観終わった後、さらに4000円を出費してまで同じ映画のDVDを求めてくれるのは、やはりこの映画に心動かされたのだろう。
 とりわけ励まされたのは、映像のプロの方々からの評価だった。
 映画監督の原村政樹さんは、BCCメールの中で私の映画の感想を書いてくださっている。

 昨日、土井敏邦監督のドキュメンタリー映画『“私”を生きる』を見ました。君が代強制の教育がテーマですが、それを越え、見る人に生き方、つまり、自分を偽らないで生きることの意味を深く考えさせられる内容で、最近になく感動しました。自分の生き方に突き刺ささってきました。ところどころ、涙が止まりませんでした(決して泣かせるような内容ではないのですが)。 又、国歌斉唱を拒否する教師たちを白い目で見る人たちにこそ見て欲しいと思いました。今は東京で上映していますが、大阪などでも予定されているようです。販売するDVDもありました。
 本当に最近になく魂を揺さぶる映画でした。
 そんな感動をお知り合いの皆様にお伝えしたくなり、つい、書いてしまいました。

 観てくださった方々がこの映画に感動してくださるとすれば、それは“伝え手”の私の力ではない。3人の出演者の方々の圧倒的な力である。それは“人間としての魅力”、その凛とした“生き方”の凄さだ。観客はその3人の“人間力”に心を揺さぶられる。“伝え手”である私の役割は、その3人の魅力を壊さないかたちで、あるがままにそっと観る人たちの目の前に差し出すだけでよかった。この『“私”を生きる』では、それが幾分、成功したのかもしれない。

映画『私を生きる』公式サイト
『“私”を生きる』公式サイト