Webコラム

日々の雑感 367:
“粋な”スポンサーを求めて

2018年10月9日(火)

 時間の節約のためにできるだけテレビを観る時間を削ろうと思いながらも、昨夜、夕食時にNHK・BSの『 グレートレース 絶景を駆け抜けろ! 激走 富士山麓168km』に見入ってしまった。国内・海外の選手たちが20時間近い時間をかけて、1000m前後ほどの山をいくつも越えながら、ひたすら走る。
 最近、私は健康と気分転換のために山登りを始めた、ほんの数百メールの山道を登るだけで「ゼー、ゼー」と喘ぎ、何度もへたばってしまう。そんな私の目には、いくつもの山の坂道を走り登り、160キロも走り切ってしまう選手たちの姿がまぶしかった。「なぜ、あんなに山道を延々と走れるのだろう!」と。

 それだけの脚力、体力、気力を維持するために彼らは連日、厳しいトレーニングを積んでいるに違いない。では、どうやって生活の糧を得ているのだろう。トレーニングのための経費も必要だろうし、トレーナーやアシスタントの給与、各地を転戦する旅費など莫大な資金がかかるはずだ。彼らはそれをどうやって稼いでいるのだろう。
 「きっと、あの人たちの活動を支援するスポンサーがいるはずよ」といっしょに観ていた連れ合いが言う。つまり彼らは、自分の体力と気力の限界に挑むという、まったく「生産性のない」、いわば自分の“道楽”のために他人から金を集めているということか。

 「ならば……」と私は思った。私のように、ほとんど発表の場がなく、見返りがほとんどない“パレスチナ”取材を30年以上も続けるフリーランスのジャーナリストも、その仕事を“粋”に感じ、応援してもいいと思ってくれるスポンサーから支援してもらう道を模索してもいいのではないか。私たちの“報道”という仕事は、少なくとも「160キロの山道完走」よりは「生産性」も「社会性」もありそうな気がする。

 しかしどうすれば、そんな“粋な”スポンサーと出会えるのだろう。「自分で必死に探さなければだめよ!」と連れ合いは私を叱咤激励する。「金を無心して訪ね歩くのは恥ずかしいし、そんな時間があったら、現場へ行って取材し、その素材を形にする仕事に費やしたほうがいい」と言い返す私。すると彼女は、「ネットよ、ネット!今の時代はネットを最大限、利用しなきゃ!」とまた激励。

 そういうことで、これまでこっそり日記にしたためていた「日々の雑感」を、同調し支援を申し出てくれる“忰な”スポンサーが現れてくれることを夢みて、ネットに公開することにする。

次の記事へ

ご意見、ご感想は以下のアドレスまでお願いします。

連絡先:doitoshikuni@mail.goo.ne.jp

土井敏邦オンライン・ショップ
オンラインショップ