ドキュメンタリー『飯舘村』土井敏邦

作品紹介/予告編

ゆふいん文化・記録映画祭
第5回「松川賞」受賞

飯舘村
第一章 故郷を追われる村人たち

住居や農地を放射能に汚染された酪農家の家族は、“家族の一員”だった牛を手放し、祖先が眠る墓と家を残して村を去っていく。故郷を失い、家族が離散する現実を前に、村人たちは“故郷とは何だったのか”“家族とは何か”を改めて自問する。“村”のかたちを死守しようとする為政者たちと、子どもを守るために村を離れる若い親たちとの深い乖離と軋轢。放射能が破壊したのは、故郷の“土地”と村の“絆”だった。

【予告編】

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監督のことば

私は、ジャーナリストとして30年近く“パレスチナ”を追い続けてきました。そんな私は、3・11の大惨事という、これまでまったく体験したこともない未曽有の事態を前にして、「ジャーナリストの私は何をすべきか、何ができるのか」と自問し苦悶しました。そしてやっと出た答えは、「故郷と土地を奪われたパレスチナ人の“痛み”を伝えて続けてきた私なら、大震災と大津波で故郷と土地を奪われた人の“痛み”をいくからでも伝えられるのではないか」ということでした。

私は取材の場所として、大津波による被災地ではなく、原発事故の被災地である「飯舘村」を選びました。“パレスチナ”の故郷喪失は“天災”ではく、「イスラエル建国」のために原住民が故郷を追われる“人災”でした。もし被災地に“パレスチナ”があるとすれば、原発事故という“人災”によって故郷を追われる人びとの状況だと思いました。“パレスチナ”でそうしたように、私は飯舘村の人びとを追いながら、「人間にとって“故郷”とは何か、“土地”とは何か」を問い続けていたのです。

この映画は、飯舘村の長谷川健一さん一家と志賀正次さん一家の2つの酪農家の家族がその生業を失い、村を追われていく過程を縦軸に、村人たちの家族や故郷への想いと土地の意味、そして放射能に汚染された村からの避難をめぐり、子どもたちの被曝を恐れる若い親たちと、“村”という共同体を残そうと奔走する村長との乖離と軋轢を横軸にしながら描いたものです。

その後、数回の追加取材の素材を加え編集して本作品を膨らませ、1本のドキュメンタリー映画として劇場公開をめざそうと、当初考えていました。しかし、この1時間の本編がすでに1本の映画として成立しているし、その後の取材の素材も編集してみると、別の1本の映画として耐えられるだけの密度はあると判断しました。結局、1時間版『「飯舘村 第一章 故郷を追われる村人たち』としてDVD販売と自主上映会で公開し、いま取材・編集中の映画は『飯舘村 第二章 放射能と帰村』として劇場公開することをめざすことにしました。本作品はすでに英語版も完成し、今後、海外に向けても発信していくつもりです。

土井敏邦

監督・土井敏邦プロフィール

どい・としくに
1953年佐賀県生まれ
ジャーナリスト

1985年以来、パレスチナをはじめ各地を取材。1993年よりビデオ・ジャーナリストとしての活動も開始し、パレスチナやアジアに関するドキュメンタリーを制作、テレビ各局で放映される。2005年にイラク戦争を取材した『ファルージャ 2004年4月』、2009年には『届かぬ声 パレスチナ・占領と生きる人々』全4部作を発表、その第4部『沈黙を破る』は劇場公開され2009年度キネマ旬報ベスト・テンの文化映画部門で第1位を獲得。2012年、『"私"を生きる』(2010年制作)が劇場公開。主な著書に『アメリカのユダヤ人』(2002)、『パレスチナの声、イスラエルの声』(2005年)、『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』(2008年)(いずれも岩波書店)など。

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