土井敏邦 パレスチナ記録の会

映画『ガザに生きる』5部作の製作支援のお願い

長年続くイスラエルによる“封鎖”と、ガザ攻撃(2008年12月─1月)に象徴される武力攻撃によって、ガザは瀕死の状況に置かれています。私はそのガザで生きる人びとを1985年以来、取材し続けてきました。映像で記録し始めたのは、PLOとイスラエルによる「和平合意(オスロ合意)」が調印された1993年秋からで、その17年間に撮影した映像は数百時間にも及びます。

昨夏以来、私はイスラエル政府によってプレスカードの発行を拒否され、イスラエル側からガザに入ることを禁じられてしまいました。私に残された道は、これまで撮りためたガザの映像をまとめドキュメンタリー映画化することによって、第1次インティファーダ(1987年)以来のガザの歴史をたどり、なぜガザが現在の悲惨な状況に至ったのかを伝えることです。それはまた、長年、ガザと関わってきたジャーナリストとしての責務です。

この20数年間にガザで起こった歴史的な出来事の節々で、その意味と位置付けを解説してくれたのは、私の長年の友人であり、今やパレスチナを代表するオピニオン・リーダーとなった人権活動家ラジ・スラーニでした。この映画5部作は彼を“ナビゲーター”として進行します。

映画に登場する、ガザを代表する指導者ハイデル・アブドゥルシャーフィやハマスの指導者アハマド・ヤシンなど、今は亡き著名人たちへのインタビューは、すでに歴史的な意味と価値さえ持つようになりました。

この映画『ガザに生きる』5部作(各部 約1時間)は、劇場公開を目指したものではなく、DVD化して教育現場などでの教材や資料として、日本のみならず海外でも広く普及することを目指しています。そのために英語版の制作を急がなければなりません。

現在、編集の途上ですが、今後も編集作業や英語翻訳、DVD製作、広報活動などのために数百万円の費用が予想されます。この映画製作の趣旨に賛同してくださる方々のご支援とご協力を切にお願いします。

2010年11月21日

土井敏邦

カンパのお願い

個人:5,000 円から
団体:1万円から

【カンパ送付先】
郵便振替口座:00280-0-95978
加入者名:土井敏邦 パレスチナ記録の会

映画『ガザに生きる』5部作 概要

イスラエルによる封鎖と砲爆撃で、ガザは瀕死の状況にある。1993年の「和平合意(オスロ合意)」で「中東の香港」を夢みた住民たちの希望は粉砕された。何がガザの現状を生みだしたのか──パレスチナを代表する人権活動家ラジ・スラーニの解説を通して、第1次インティファーダ(民衆蜂起)(1986年)からガザ攻撃(2008-9年)までのガザの歴史を映像でたどる。

第1部 ラジ・スラーニの道

ガザの名家に生まれ育ったラジ・スラーニは、占領下の民衆の過酷な状況と自らの占領体験によって、占領と闘う政治活動に身を投じた。だがイスラエル当局に投獄され、5年近い獄中生活を強いられる。占領下で人権弁護士として活動を続けるラジの半生を通して、ガザに生きる人びとの生と思いを伝える。

第2部 2つのインティファーダ

占領への怒りが爆発した第1次インティファーダは、パレスチナ社会の変革運動でもあった。だがその結末の「オスロ合意」は“占領の合法化”だったことを知った民衆の失望と怒りは、再びインティファーダとして表出する。この過程を主導したアラファトの歴史的な功罪は何だったのかをガザの指導者たちが総括する。

第3部 ハマスの台頭

イスラエルのガザ撤退(2005年夏)の背景を探り、それを支持拡大に利用したイスラム抵抗運動「ハマス」の実態に迫る。占領下で窮乏する民衆を支援する慈善組織の顔と、占領に武力で抵抗する武装組織の2つの顔を持つハマスが、ガザ地区を実効支配するまでに勢力を拡大した背景とその影を描く。

第4部 封鎖

勢力拡大したハマスと、これを支持する民衆への“集団懲罰”としてイスラエルは、ガザ地区の“封鎖”を強化した。住民は食料や医薬品など生活必需品の不足に苦しみ、移動の制限のため海外での治療や仕事の機会さえ奪われてしまう。さらに崩壊したガザ経済の下、若者たちは失業し将来へ希望も断ち切られる。

第5部 ガザ攻

イスラエルのガザ攻撃(2008年12月−1月)は約1400人(7割が民間人)の犠牲者を出した。被害は人命や家屋に限らず、工場や農地など産業基盤も破壊された。その被害の実態を遺族や関係者の証言を元に詳細に報告する。一方、この攻撃を圧倒的なイスラエル国民が支持した背景を有識者の声から探る。

映画『ガザに生きる』リーフレット

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