土井敏邦 監督『アミラ・ハス』

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“パレスチナ占領”報道の第一人者、アミラ・ハスが、占領50年目の2017年秋、来日した。

イスラエル人でありながら、20数年、占領地に身を置き、パレスチナ側とイスラエル側の双方から立体的に“占領”を世界に伝え続けている。

その記事は、イスラエル内外で高い評価を受け、数々の国際賞を受賞した。その一方、一部の国民からは「祖国への裏切者」と呼ばれて脅迫にさらされ、ハス氏が歯に衣着せず批判するパレスチナの為政者たちからは追放や脅迫を受けてきた。

来日したアミラ・ハスは各地で、母国による“占領”の実態を詳細に語る一方、沖縄取材を通して“パレスチナ”と“オキナワ”の接点を鋭く指摘した。

これは、日本各地での8回の講演と沖縄取材を集約した、4時間のドキュメンタリー映画である。

作品紹介

『アミラ・ハス』
イスラエル人記者が語る“占領”

前編・後編 2部構成 4時間
監督・撮影・編集・製作 土井敏邦

前編(119分)

第一章・取材現場 2017年7月・ヨルダン川西岸
分離壁の現場/襲撃されるヨルダン川西岸の村/イスラエル人の“特権”を占領の構造と闘う武器に
第二章・アミラ・ハスと占領
ジャーナリストへの道/ジャーナリストとしての役割と危険/イスラエル人としての限界
第三章・パレスチナ側の“占領”
占領の実態/「移動の自由」の制限/ガザの移動制限/西岸の移動制限/構造的暴力/占領・分離の心理的影響
第四章・イスラエル側の“占領”
「占領は終わった」イスラエル人/イスラエル人の人種主義/占領の“利益”を享受する

後編(118分)

第五章・パレスチナ内部の問題
ファタハ・自治政府の実態/ハマスの実像/民衆を犠牲にした内部抗争
第六章・イスラエル内部の問題
シオニズムとイスラエル建国/イスラエル国家と宗教勢力
第七章・沖縄とパレスチナ
【第1部】アミラ・ハスの沖縄取材
金城実/池原秀明/伊佐真次/金城武政/高里鈴代/知花昌一/佐喜眞道夫/金井創
【第2部】パレスチナと沖縄の接点
ジャン・ユンカーマン氏との対談
共通点と相違点/沖縄への差別/デラックス占領/支配権力の二重構造
第八章・欧米と日本の責任
米国の同盟国としての日本の責任/政治的不行動の“口止め料”/「危険な国家」に必要な外からの圧力
第九章・抵抗と暴力
占領と抑圧と戦う権利と義務/「崇拝の対象」となった武装闘争/武装集団に乗っ取られた民衆蜂起
最終章・ジャーナリズム
民衆が情報源/言論の自由と知る義務/「中立・客観」報道とは/危険地の取材/“怒り”が原点
アミラ・ハス 略歴

1956年、イスラエル生まれ。両親はホロコーストの生存者。有力紙『ハアレツ』の占領地特派員として1993年からガザ地区に、97年からはヨルダン川西岸のラマラ市に住んで、現地から報道し続けているジャーナリスト。2003年「国際ギレルモ・カノ世界報道自由賞」など数々の国際賞を受賞している。代表作は『ガザの海水を飲んで』(Drinking the Sea)日本語への訳書は『パレスチナから報告します』(An Israeli Journalist in a Occupied land by Amira Hass/筑摩書房)。

監督プロフィール

土井 敏邦(どい としくに)
1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。
1985年以来、パレスチナをはじめ各地を取材。1993年よりビデオ・ジャーナリストとしての活動も開始し、パレスチナやアジアに関するドキュメンタリーを制作、テレビ各局で放映される。2005年に『ファルージャ 2004年4月』、2009年には『届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと』全4部作を完成、その第4部『沈黙を破る』は劇場公開され、2009年度キネマ旬報ベスト・テンの文化映画部門で第1位、石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。次作となった『“私”を生きる』(2010年)は、2012年度キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門で第2位。

東日本大震災後に制作された中編『飯舘村 第一章・故郷を追われる村人たち』(2012年)では「ゆふいん文化・記録映画祭・第5回松川賞」を受賞。また、2012年には、ビルマ(ミャンマー)から政治難民として日本に渡った青年を14年にわたって見つめた『異国に生きる 日本の中のビルマ人』で2013年度キネマ旬報文化映画第3位、文化庁映画賞文化記録映画優秀賞受賞。その他に『飯舘村 放射能帰村』(2013)、『ガザに生きる』全5部作(2014)など。著書は『アメリカのユダヤ人』、『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』(いずれも岩波書店)など多数。

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『アミラ・ハス』
イスラエル人記者が語る“占領”

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