土井敏邦 監督『ガザに生きる/Life in Gaza』DVD Box

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イスラエルによる封鎖と砲爆撃で、ガザは瀕死の状況にある。1993年の「和平合意(オスロ合意)」で「中東の香港」を夢みた住民たちの希望は粉砕された。何がガザの状況を生みだしたのか──パレスチナを代表する人権活動家ラジ・スラーニの解説を通して、第1次インティファーダ(民衆蜂起)(1986年)からガザ攻撃(2008〜2009年)までのガザの歴史を映像でたどる。

作品紹介

『ガザに生きる』5部作
監督・撮影・編集:土井 敏邦

2015年/日本
アラビア語・英語/字幕:日本語・英語/NTSC

 第1章 ラジ・スラーニの道

ガザの名家に生まれ育ったラジ・スラーニは、イスラエル占領下の民衆の過酷な状況と闘うために弁護士となり、政治活動にも身を投じた。5年近い獄中生活と拷問体験という試練を乗り越え、人権弁護士として活動を続けるラジの半生を追いながら、ガザに生きる人びとの“生”と“思い”を伝える。(52分)

第2章 二つのインティファーダ

占領への怒りが爆発した第1次インティファーダ(民衆蜂起)は、パレスチナ社会の変革運動でもあった。だが、その結末の「オスロ合意」が“占領の合法化”だったことを知った民衆の失望と怒りは、第2次インティファーダとして表出する。この過程を主導したアラファトPLO議長の歴史的な功罪は何だったのか―ガザの指導者たちが総括する。(82分)

第3章 ガザ撤退とハマス

2005年夏、イスラエルはガザから撤退した。その真の目的は何だったのか、イスラエル人・パレスチナ人双方の証言からを探る。一方、イスラム抵抗運動「ハマス」はこの「ガザ撤退」を支持拡大に利用した。占領下で窮乏する民衆を支援する“慈善組織”の顔と、占領に武力で抵抗する“武装組織”の2つの顔を持つハマスの実態と、その影を描く。(67分)

第4章 封鎖

ガザを実効支配したハマスと、これを支持する民衆への“集団懲罰”として、イスラエルはガザ地区の“封鎖”を強化した。住民は食料や医薬品など生活必需品の不足に苦しみ、移動の制限のため海外での治療や仕事の機会さえ奪われてしまう。一方、崩壊したガザ経済の下、若者たちは失業し将来へ希望も断ち切られる。(84分)

第5章 ガザ攻撃

イスラエルのガザ攻撃(2008年12月-1月)は約1400人(7割が民間人)の犠牲者を出した。被害は人命や家屋に限らず、工場や農地など産業基盤も破壊された。その被害の実態をガザ住民の遺族や関係者の証言を元に詳細に報告する。一方、この攻撃を90%を超えるイスラエル国民が支持した背景を、有識者たちの声から探る。(86分)

2014年7月のガザ攻撃については、映画版 『ガザ攻撃 2014年夏』 (124分)のDVDが発売中です。『ガザに生きる』のDVDボックスには『ガザ攻撃 2014年夏』も収納していただけるようになっています。


『ガザ攻撃 2014年夏』予告編

監督より

2015年は、元日本軍「慰安婦」の証言ドキュメンタリー『“記憶”と生きる』の劇場公開に奔走した1年でしたが、もう一つ、6年がかりの仕事がやっとかたちになりました。

前作『届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと』(4部作)が完成した直後の2009年から制作を開始した『ガザに生きる』BOX(5部作/日本語・英語)が、年末のクリスマス・イブに私の元に届きました。

この作品は、1993年9月、オスロ合意の直後からほぼ20年間にわたって撮影したパレスチナ・ガザの映像を、私自身が6年がかりで編集した作品です。

この映画もまた多くの方々の多大なご支援によって完成することができました。

制作が長引き、支援者の方々には、「計画倒れか」とご心配をおかけしたかもしれません。ガザの状況が刻々と変化し、そのたびに追加取材が必要となったこと、またイスラエル政府によるプレスカード(ガザ取材に不可欠)発行拒否、さらに緊急の取材と映画制作(『飯舘村―故郷を追われる村人たちー』、『飯舘村―放射能と帰村―』、『異国に生きる―日本の中のビルマ人―』、『“記憶”と生きる』)などのさまざまな事情のために、予想以上に完成が遅れました。どうか事情をご理解ください。

前作と同じく、パレスチナ・イスラエル問題の“現象”だけではなく、“構造”を描くことに力点を置きました。

土井敏邦

監督プロフィール

土井 敏邦(どい としくに)
1953年佐賀県生まれ。ジャーナリスト。
1985年以来、パレスチナをはじめ各地を取材。1993年よりビデオ・ジャーナリストとしての活動も開始し、パレスチナやアジアに関するドキュメンタリーを制作、テレビ各局で放映される。2005年に『ファルージャ 2004年4月』、2009年には「届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと」全4部作を完成、その第4部『沈黙を破る』は劇場公開され、2009年度キネマ旬報ベスト・テンの文化映画部門で第1位、石橋湛山記念・早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。次作となった『“私”を生きる』(2010年)は、2012年度キネマ旬報ベスト・テン文化映画部門で第2位。

東日本大震災後に制作された中編『飯舘村 第一章・故郷を追われる村人たち』では「ゆふいん文化・記録映画祭・第5回松川賞」を受賞。また、2012年には、ビルマ(ミャンマー)から政治難民として日本に渡った青年を14年にわたって見つめた『異国に生きる 日本の中のビルマ人』で2013年度キネマ旬報文化映画第3位、文化庁映画賞文化記録映画優秀賞受賞。その他に『飯舘村 放射能帰村』、『届かぬ声―パレスチナ・占領と生きる人びと』(4部作)、『“記憶”と生きる』など。著書は『アメリカのユダヤ人』、『沈黙を破る─元イスラエル軍将兵が語る“占領”─』(いずれも岩波書店)など多数。

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DVD販売

『ガザに生きる』
5枚組 DVDボックス

価格:13800円
【団体】46,296円(10人未満の上映権込み)

注文は→土井敏邦オンライン・ショップ